それを不謹慎にも綺麗だと思ってしまったのは、一体何故だろう。


「俺が今までどんな気持ちでお前の傍にいたと……!」


……え?

切羽詰まったような声色で彩られた言葉は、私の動きを今度こそ完璧に封じ込めた。


どんな、気持ちで……?

そんなの知らない。考えたことなんかないよ。

ずっと幼なじみとして一緒に過ごしてきた。それ以上でもそれ以下でもないつもりだった。

傍にいるのが当たり前で、そこにある感情の存在を意識したこともなかった。

だから、突然そんなこと言われたってわかるわけない──って、本当に?


「……っ」


困惑しっぱなしで微動だにしない私に視線を向けることもなく、康介は部屋を出て行ってしまった。

こんな風に言うつもりじゃなかったのに。心憂い声で、そんな台詞を捨て置いて。




1人残された静寂の広がる部屋で、考えを巡らせる。