晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

視界が回る。歪む。

気分が悪くなりそうだ。


なんでこんなに否定されなくちゃならないの。

何も知らないくせに。康介だって、リョータの言葉に救われたくせに……!


「え……?」


私の腕を掴んでいた力が緩み、反射的に顔を上げると、康介の目が大きく見開かれていた。


「俺がそいつに救われたって、どういう……」

「……わ、私今、声に出して……!?」


脳内で叫んだはずの言葉は無意識のうちに声に乗せられ、康介の耳に届いてしまったらしい。


「おい、ちづ! どういうことだよ!」

「どういうことって……前に、あんたが怪我して塞ぎ込んでたことあったでしょ? あの時、どうしたらいいかわからなくて落ち込んでた私を、リョータが励ましてくれたの!」


詰め寄る康介から顔を逸らし、やけくそになって答えてやる。


「走り続けるのは苦しいことだけど、それでも、乗り越えられたら見たこともない景色が見えてくるって……。その言葉に背中を押されて、私はあんたと向き合うことができた! あんたにかけるべき言葉を見つけられた!」