悪い人じゃない。いつも優しい言葉で私の背中を押して、勇気をくれる。
「沢山の話をした。好きな本の話とか、つらい時に救われた言葉とか。正体も知らない、繋がりは手紙だけだけど、それでも……私にとって本当に大切な人なの……!」
息が切れるくらい矢継ぎ早に言葉を放った。喉の奥がキュッとなって、指先がびりびり痺れた。
そんな私を、康介は冷たい目で一瞥する。
「お前も俺に負けねぇくらいのバカだって思ってたけど……まさかここまでのバカだとは思わなかった」
「な……っ」
思いがけないバカ呼ばわりに、いつもの反射で噛み付こうとしたけれど、それは腕を掴まれたことによって阻まれた。
払いのけようと思っても、押さえつける力が強くてビクともしない。
「“正体を知らない”? “繋がりは手紙だけ”? ……目ェ醒ませよバカ千鶴! 騙されてんだよお前は! この“リョータ”ってやつに!」
突然荒げられた声。あまりの迫力に、思わず竦んでしまう。
「だ、騙されてなんか……!」
「騙されてないと思うなら、なんでこいつの存在を隠そうとするんだよ! お前の中で引っかかるところがあるから、人に知られたくないと思ったんじゃねぇのかよ!」
「沢山の話をした。好きな本の話とか、つらい時に救われた言葉とか。正体も知らない、繋がりは手紙だけだけど、それでも……私にとって本当に大切な人なの……!」
息が切れるくらい矢継ぎ早に言葉を放った。喉の奥がキュッとなって、指先がびりびり痺れた。
そんな私を、康介は冷たい目で一瞥する。
「お前も俺に負けねぇくらいのバカだって思ってたけど……まさかここまでのバカだとは思わなかった」
「な……っ」
思いがけないバカ呼ばわりに、いつもの反射で噛み付こうとしたけれど、それは腕を掴まれたことによって阻まれた。
払いのけようと思っても、押さえつける力が強くてビクともしない。
「“正体を知らない”? “繋がりは手紙だけ”? ……目ェ醒ませよバカ千鶴! 騙されてんだよお前は! この“リョータ”ってやつに!」
突然荒げられた声。あまりの迫力に、思わず竦んでしまう。
「だ、騙されてなんか……!」
「騙されてないと思うなら、なんでこいつの存在を隠そうとするんだよ! お前の中で引っかかるところがあるから、人に知られたくないと思ったんじゃねぇのかよ!」



