晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「あ、あの時はたまたま……!」

「嘘とかいらねぇから」


深い溜め息を吐いた康介が、後頭部をがしがしと掻きながら部屋の中に足を踏み入れてくる。

脳内には警報音がけたたましく鳴り響いているのに、歩み寄ってくる幼なじみから目を逸らすことも、ましてや逃げ出すことも出来ない。


「…………」

「やめ……っ」


頭が真っ白のまま制止の声を発したけど、時既に遅し。筋肉質な腕が伸ばされ、康介が手紙に到達した。


「“初めまして。俺、リョータって言います”……」


手に取られてしまったのは、一番上にあった、彼からの最初の手紙。

もう隠せない。康介は勉強こそ出来ないけど、バカじゃない。

勘は鋭いし、不審に思ったことはとことん追求してくる。そういうやつだってこと、私が一番知ってる。


「……友達、なの」


観念しよう。私じゃ、康介を欺くことは不可能だ。


「去年の冬、突然靴箱に手紙が届いて……初めは私も不審に思ったんだけど、悪い人じゃないってわかってからは、私も手紙を書くようになって」