晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

いつの間にか開かれていた扉を塞ぐように、腕を組んだ制服姿の康介が壁に体重を預けてこちらを睨みつけていた。

射るようなその視線があまりに冷たくて、蛇に睨まれた蛙の如く身動きが取れなくなってしまう。


「それ何、って聞いてんだけど」


顎を煽って指されたのは、十中八九、机に並べた多数の手紙だ。

……知られたくない。ショート寸前の脳を奮い立たせ、どうにかこの場を切り抜けられるだけの理由を必死に探す。


「む、昔貰ったやつなの! ほら流行るじゃん、手紙のやり取り! 懐かしいなぁーって……」

「昔貰った手紙を、学校の昇降口で持ってたりするか?」


ぴしゃりと封じ込められた逃げ口に、遂に思考回路が停止してしまった。


あの時。前回手紙を受け取った時。

私は封を開くことを我慢出来なくて、昇降口でリョータからの手紙に目を通した。

そこに康介が現れて、咄嗟に隠したつもりだったんだけど……見られてたんだ……。