晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

リョータが大丈夫だと言うなら、本当にそんな気がしてくる。高く聳え立つこの壁を、乗り越えられる気さえする。

リョータにおっきな力をもらった私は、もしかすると無敵なんじゃないだろうか。


便箋から顔を上げ、勉強机の右側の引き出しを開くと、見慣れたシンプルな封筒が姿を現わした。表面には、やはり見慣れた字で私の名前が記されている。

それらを一つひとつ手に取って、机の上に並べていく。


去年の初冬、突然届いた一通の手紙。

そこからやり取りが始まって……いつの間にか、こんなに沢山になってたんだなぁ。

リョータからの便りは、どれも私の大切な──


「何それ」


大切な、宝物だから。


誰であろうと否定されたくはないし、鍵のついた宝箱に入れるように秘めていたかったのに。


「こう、すけ……」


息が止まるような苦しさの中、聞いたこともないような低い声のしたほうを振り返る。

背後から感じ取れる重い空気が、手紙を隠すことを赦さなかった。