晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

“肩の力を抜いて、君は君らしく、走ることを楽しんで”

そうだ、私……走ることが楽しかったんだ。

タイムとか周りからの評価とかそんなの気にしないで、ただ風になることが好きだった。

最近の私はどうだろう。

肩肘張って、どんどん自分を追い込んで……“私らしさ”を見失ってしまっていたような気がするなぁ。


“登坂さんなら絶対に大丈夫。どんな苦しみも乗り越えられる。そういう強さを、君は確かに持っている”

大丈夫なんて、何を根拠に? ……リョータが私を真っ直ぐに見ていてくれているという事実を根拠に。


苦しくてどうしようもなかった。投げ出したくて仕方ないのに、棄てられなくて、雁字搦めになっては溺れそうになってた。

二度と抜け出せないんじゃないかって思ってた。……でも。


大丈夫の三文字を指でそっとなぞると、苦しいくらいに胸がいっぱいになって、数え切れないくらいの感情が堰を切ったように溢れ出した。