晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

皺になる恐れは頭の隅にあったものの、後でちゃんとハンガーにかけるからと自分自身に言い訳し、鞄のポケットから手紙を取り出した。

椅子に腰掛けてから一つ息を吸い込んで、手紙の封を丁寧に開ける。


瞬間、目に飛び込んできたのは、達筆で少し右肩上がりの、やっぱり優しいリョータの字だった。




【登坂 千鶴さんへ


こんにちは。君からの返事がないうちに手紙を書くことを、どうか許してください。

最近の登坂さんがどこか切羽詰まったように見えて、居ても立っても居られなくなったんだ。


思い通りにならなくて、前にも後ろにも進めないことってあるよね。目標さえ見えなくなって、どうしようもなく不安になる。

俺にもそんな時期があったし、多分登坂さんもそういう状況なんだろうなって。