晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「俺ももう帰るから、一緒に出ようぜ」


そういう康介は、まだ練習着姿だ。

グランドから私の姿が見えて、わざわざ昇降口まで来てくれたのかもしれない。……でも。


「っ……ごめん! 急ぎの用事あるから、先に帰る……!」


手紙を持っていない方の手を掲げ、断りを入れる。

授業がある日に練習着で帰るのは禁止されてるから、康介が着替えるのを待たなくちゃいけない。

リョータの言葉を掌に収めた上でそれを読むことを我慢なんてできないし、着替える康介を待つ間に手紙を読むなんて器用なこと、私には出来っこないって思ったから。


康介からの返事を待たずにもう一度謝罪の三文字を伝え、駆け足で校舎を出た。

早足で駅に向かって、ちょうどホームに乗り入れた電車に揺られて最寄駅を目指す。

行きの重い足取りとは違い、家路を急ぐ足は不思議と軽かった。




帰宅するなりローファーを脱ぎ散らして、そのまま駆け込んだ自室では制服を脱ぎ散らした。