遠目でも、あの時の選手だってすぐにわかったよ。

綺麗なフォームでひたむきに陸上に打ち込む姿は、変わらず俺に元気と勇気をくれました。


そろそろ大会が始まる頃だよね。

こんな風に言うのは無責任かもしれないけど、リラックスして挑んでね。

陰ながら応援しています】




涙が滲んで、途中、パジャマの袖で何度も目元を拭った。

それでも追いつかなくて、頬を熱いものが流れていく。


嬉しかったんだ。

あの日の私が、苦しみの中にいたというリョータに元気を与えられていたこと。

でもそれ以上に、私の不甲斐ない走りでも、リョータのプラスになっていたことが。


同時に、不甲斐ない走りしか出来ない自分に悔しくなる。

今の自分に、そんな風に言ってもらう資格はあるのかな。

中学最後の大会で、ゴールラインを超えた瞬間に目に飛び込んできたあの景色は、今や遥か遠くにあるのに。


嬉しさ、悔しさ、歯痒さ、情けなさ。

色んな感情が入り混じって、とめどなく溢れる涙を止めることが出来なかった。