晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

言葉を操るのが巧いリョータは、今目の前にある出来事を、どんな風に感じてるのかなぁ……。




4月も終わりに差し掛かり、いよいよ康介の人気を認めざるを得なくなってきた頃。いつものハードな練習を終え、私は靴を履き替えるべく昇降口を目指していた。

みんなで一緒に部室を出ることもあれば、1人の時もある。今日は後者で、部室の前を通り過ぎた時はまだミーティング中だった康介と、靴を履き替えてから待ち合わせして一緒に帰る約束だ。


今日は夜からサッカーの中継があるみたいだし、どこにも寄らずに帰るだろうなー。私も今日は結構疲れたし、ゆっくりお風呂に入りたいなー。

そんなことを考えているうちに昇降口に差し掛かった。場所にも慣れてきた新しい靴箱をいつもの調子で開く。


「あ……」


ローファーの上に封筒が置かれているのを確認し、口角が緩むのを感じた。

鞄を簀の上に下ろして、それを手に取る。

キョロキョロと周りを見渡すも、近くに人の気配はない。そのことに安堵した私は、靴箱に背を預けて封を開けた。




【登坂 千鶴さんへ


こんにちは。