晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「その子が何考えてるかはわかんないけど、私、逆恨みだけは嫌だからね?」

「んなもん、俺だって嫌だよ」


隣を歩く康介に視線を投げると、彼はげんなりした様子だった。

いつもと変わらない、ちょっと気怠げな康介。だけど、私の知らないところで沢山の好意を向けられていた康介。


そんな幼なじみの横顔を見上げて、気付いたら口にしていた。


「康介は……好きって気持ちがどんなのか、知ってる?」

「……は?」


突拍子のない発言に、彼は目を丸くして私を見た。

答えないのをいいことに、畳み掛けるように言葉を投げる。


「私、わかんないんだ。何をもってして恋ってやつになるのか。単なる“好き”と、何が違うのか」


恋がどんなものなのか、それは真田の一件で少しだけ知ったと思う。

だけど、そこに至るまでの感情の変化が理解できない。

真田は、気付いたら好きになってたって言っていた。


じゃあ、どのタイミングで気付くの? “like”と“love”の線引きは何?


「…………」


康介は呆気にとられたような、少し含んだような表情で私を真っ直ぐに見据え、それからひとつ、息を吐いた。


「そんなの、人それぞれだろ」