探しても探しても見つけられない苛立ちを逃がそうと窓の外に視線をやった時、外階段の踊り場に、一瞬影が見えた。

すぐに隠れてしまったけど、確信があった。──真田だ。


「……っ」


すぐに行かなくちゃいけない気がして、脳が走れと命令するよりも先に、地面を蹴って駆け出す。


外階段へと繋がる扉は常に開いている。

なんで真冬に開けっ放しなんだ、といつもは苦く思ってるけど、今回に限ってはまどろっこしくなくていい。

廊下の先に扉が見え、外気に肌を晒そうとした──ところで、全開だったアクセルにブレーキをかけた。


全身の血管が跳ねた。それくらいの衝撃だった。

だって、思いもよらなかったんだ。


気丈で、ちょっとだけ意地悪で、私なんかよりもずっと大人っぽくて、頼もしい。

そんな真田が──


「っうぁ……ぁっ」


声を上げて泣いてる、なんて。