座っている距離を詰めて肩を抱き寄せると、その肩が細かく震えていた。
「ご、ごめんなさい…狭いとこ苦手で…」
「閉所恐怖症…ってこと?」
彼女らしからぬナーバスな発言を繰り返していたのは、恐怖心からだろうか。
それを私に伝えなかったのは…
「アコ、緑川さんに嫌われたくない…嫌わないで……ごめんなさい」
「嫌われたくない…?」
自分が考えていたことの真逆を言われて、一瞬言葉が浮かばなくなった。
「アコは…ダメな子だから」
「そんなっ…」
彼女はひきつった顔に笑顔を浮かべた。
「アコに優しくしてくれる人なんて少ないから」
そんなはずない、大声で怒鳴りつけそうになったのを寸前のところで止める。

