彗月先輩が悲しい顔をすることは珍しい。 いつも笑っているからその気持ちの変化に気がつけない。 だから、心の中で泣いているのかもしれないと思ったらやるせない気持ちになる。 「もっと気持ちを全面に出してもいいと思うんだよなぁ」 「健気な彗月ちゃんも可愛いじゃん」 「もっと我儘になっていいんすよ!先輩は!」 フォークをぶすっと刺してケーキの残りを口に放り込む。 「本人に遠慮してる気がないからなぁ」 冷めたコーヒーはあまり好きじゃない兄貴は俺の方へ押しやってきた。 俺ブラック嫌なんだけど。