「…いいと思う」

         
指差したのはペアリングだった。


中央に小さな石がついていて、その石にまつわる言葉が選べるらしい。



例えばこの黄色い石シトリンだとしたら友情・初恋・甘い思い出、のような具合に。



内側には合わせるとハートになる模様が彫られている。


「あー、でもサイズわかんねー」



凛ちゃんが悩んでいるようなのでそっと離れる。

ずるいな、いいな。

彼に背を向けてため息を零した。


私なんてこんなもちゃんとしたもの貰ったことないよ。


そもそも彼氏なんていたことなかったし。



嫉妬心からピンクの石がついたピンキーリングを指で転がす。


ローズクォーツ、恋愛にまつわる石ということは私でも知っている。


このリングだって誰かの彼女がつけるんでしょ。

羨ましいなぁ。大切にしてもらえて。