「うわー、これ絶対花火見えないよ」 「中止だよな」 逃げ込んだ先は残念ながら木の下。 お社のご神木で雨宿りをするけどバチが当たりませんように。 「…」 「…」 「凛ちゃん、もう手を離して?」 早い話が、無言に耐えられなくなった。 滝のような勢いで降る雨のせいでまわりには人がいない。 「嫌だ」 「やだって…寒い?でも凛ちゃんのほうが手温かいよ」 寒いどころか雨のせいで蒸し暑くて、しっとりと濡れた浴衣を脱ぎたくて仕方ない。