「ごめんね凛ちゃん、何でもないから…帰ろう」 あ、嘘ついた。 彗月は後ろめたいことがあると決まって右耳を引っ張る癖がある。 「…だな」 俺はそれに気がついていないふりをしてしまった。 追求して拒絶されるのが怖かったし、真実を知りたくなかった。 彗月が誰のことを好きだなんて知りたくない。