「…本当はこのまま一緒に帰りたいところだけど、用事を思い出したよ」 数秒の衝撃の後に、取ってつけたような嘘をつかれた。 「じゃあね、雨が強いから凛にでも送ってもらいな」 「え、あぁ、うん…」 手を振って遠ざかる白鳥の後ろ姿を呆けたように、見つめ続けた。 何だったんだろう、彼の意図が全く読めない。 「ハヅキ」 感情をごっそりと削ぎ落としてきた低い声が私を呼んだ。 悪いことなんて何もしていないのに。 後ろめたい気持ちが溢れて溢れてとまらなかった。