「嘘だろ?」 明るい声に驚いて視線を上げると机を挟んで目の前に白鳥が立っていた。 「何が嘘なの?」 「全部」 「桃は凛が好きだから、数学は凛に教えるから…」 「ちょっと、どうしたの?」 淡々と私を否定する言葉を彼は吐き出す。 薄く笑いながら抑揚なく、よどみなく私を切りつける。 やめて、私の心に踏み込まないで。 覗かないで、私の隠し通してきた気持ちに触らないで。