両手のひらを頬にあてると信じられないくらい熱を持っていて、鏡を見なくても情けない顔をしていることがわかる。


「ずっと前から好きだった…」



それは、他の誰でもない俺だ。


恋をしているんだ、と認めてしまえば後は簡単だった。



ずっと一緒にいたいと思うもの。

大切な人と言われて一番に思い浮かぶのも。

シャッターをきりたいと思うのも。

帰り道で離れがたいと思うのも。






全部彗月が好きだから。


誰のものにもなって欲しくない。

俺だけの彗月でいてほしい。


なんて



「気がつくの遅すぎだろ…」




ずるずると壁に背中をつけて座りこんだ俺は傍からすれば相当間抜けだった。