「どうせ君のことだからすぐに病院へ行こうなどと考えているだろう」
「うっ…まぁ、はい」
「だめだ」
「なぜですか!!?」
「生徒が大した理由もなく早退するところを私は見過ごせない」
「大した理由…?」
白鳥さんが事故にあったことはどうでもいいことなの?
烏丸さんは白鳥さんが大切じゃないの?
反論の言葉は悲しそうな黒い瞳に奪われてしまった。
そんな顔するくらいなら烏丸さんも会いに行けばいいのに。
「…取り乱してすいませんでした」
「いや、私こそすまなかった」
「先生にはもう連絡したから…じゃあ戻るぞ」
「あぁ、生徒の混乱は避けたい。言うなよ」
連れ立って赤組の陣地へ戻る先輩たちを私は引き止めることもできずに見つめた。

