私は幸せに生きることが怖かった。 とても、臆病だったんだ。 誰かのために生きるとか、誰かの分まで生きるなんて、胸張って言えるほど私は強くなくて、けれどそれは先を逝った戦友たちへの贖罪なんて綺麗事でもなくて。 ただ、大好きだった人が行けなかった道で大好きだった人が知らない場所へ行くことが、怖かったんだ。 だから幸せが近づいてくると反射的にそれを遠ざけた。