少女たちの選ぶ道


「ねーさん、始業式どうだった?」


リビングから聞こえる芳樹の声に私は野菜を切りながら答えた。もちろん怪我をしないように気をつけて。


「最悪だよ。芳樹の中学校とは違ってクラス替え無いし、始業式なのに授業もあるし。午前下校の芳樹が羨ましい」


「それじゃあ、ねーさん転校してこればいいじゃん」


「親が許さないでしょ。芳樹が通う中学校は距離があるんだから」


「僕と一緒に帰れば問題ないよ?」


「彼女が出来たらどうするの?」


芳樹の話に耳を傾けながらも料理はテキパキと行う。野菜を切り終わりフライパンは何処にしまってたっけな…と探し始める。


「僕は、ねーさんが彼氏を作るまでは彼女は作るつもりないから」


「は?」


フライパンを見つけ火をつけたのと同時ぐらいに私は間抜けな声を出した。


「私、特別美人でもないし優子と違って可愛くもないから彼氏なんて何年先の話になるか」


芳樹の目は節穴か…と心の中でツッコミを入れた。


「確かに優子ちゃんは可愛いと思う。でもねーさんにも魅力があるよ。気づいてないだけで、ねーさんは卑下しすぎなんだよ」


「魅力って…。そもそも私、女子校に通ってるから出会いとかないよ」


私なんかよりも芳樹の方が断然モテるに決まっている。モデル体型で容姿も良い方だし、男女差別することなく優しいし後輩がいたら面倒見が良いし、噂を間に受けないし。


私に無いものを芳樹は全てを持っている。両親の良いところを受け継いでると言ってもいいかもしれない。


芳樹は共学に通ってるからラブレターとか貰ったりするのかな。いや今の時代は呼び出して直接告白するかメール?


「共学に通ってるんだから青春しないと損だよ?芳樹」


野菜とご飯を炒めて味付けをする

…うん、悪くない。

お皿に盛り付けよう。


「中学生に青春は早いって。青春は、せめて高校生か大学生だと思うけど?」


「女子校に通ってるから私にはわからないよ。それより芳樹は決めてるの?高校」


高校に入学したら今よりも更にモテる確率が高い。そして例え双子の姉だとしても女子からの嫉妬の目線が痛い生活を送りそうになる。


って、同じ高校を受験して合格して一緒に登校するような流れに勝手に考えてたけど芳樹から志望校を聞いてなかった。


私の早とちり。


「はい。チャーハン出来たよ」


私はリビングに行き、ソファに座っている芳樹にチャーハンが乗ったお皿を渡した。


「ありがとう。ねーさん」


芳樹は文句を言わず美味しそうに食べてくれるから作ることを苦に感じることはない。


「だけど、ねーさん僕らまだ中二なのに気が早いよ」


「それもそうだけど早く決めることに越したことはないでしょ?」


「まぁ、そうだけど…多分ねーさんと同じだと思う」