「さて、と。歌夜の腕のことも詳しく訊きたいんだけど……」

そう言って私を振り返った海斗。その瞳には心配そうな色と、少し怒りの色も浮かんでいて、思わず私は声をあげていた。

「そ、それより!今はナオヤさん達のライブを観ようよ!怪我のことはちゃんと後で説明するから、ね!?」

早口でまくしたてる私に、海斗も紅志も少しだけ考えてから顔を見合わせて、仕方ないといった様子で溜め息をついた。

「オッケー。じゃあこの話はライブを観た後」

「うん、ありがと」

ほっと胸をなで下ろした私は、海斗たちの顔をにこにこ顔で見ながら、胸がドキドキしているのを必死で隠していた。

自分の考えてることが、彼らにバレてないかっていうドキドキを。





まだ。決心が、ついてない。少しだけ、時間が欲しい……。





グッと両手を握り締めた。震えを誤魔化すように。