好きだと思うんですがっ!?


昔、雨の日に自転車に乗った時、急カーブをかけた瞬間タイヤがスリップして転んだ事がある。

予想してなかったあの瞬間、タイヤが滑って転ぶまでのほんの0コンマ何秒かの時間しか無いはずなのに、肌感覚的には数秒、下手したら数分にすら感れた事があった。

きっと今まさに、それだ。

あの時と同じ、コンマ何秒かの時間が、数分にも感じられるほど、星野くんと触れ合ってる時間は長く感じた。

それに不思議なのは、彼の目から何か引力でも感じているのか……あたしは星野くんから目が離せなかった。

星野くんも同じなのかもしれない。

だって彼もあたしから目を離そうとはしないから。


あたしの指先を星野くんの細くゴツゴツした人さし指が這うようにして絡む。

ヘビのように静かに近づき巻きついて、そして最後はあたしの手を丸飲みしようとしてるみたい。

けどその時、ちょうど映画は音の激しい瞬間に切り替わり、それが何かの神経をプツリと切り裂いたように、あたしは思わず手を引いた。