「昨日レビューとか見てたんだけど、この映画ってラブロマンスというよりミュージカルなんだろ?」
「みたいだね。ミュージカルとか嫌い?」
「いや、嫌いじゃない。あんま好んでは観ないけど」
「ふぅん。あ、ねぇねぇ、ポップコーン食べようよ!」
星野くんの服の袖を掴んで、ポップコーン売り場を指差す。
「なんだよ。昼メシ食って来なかったのか?」
「うん、お腹空いてなかったから。でも今は空いてる。食べたい」
なんて、服選んだり色々してたら食べ損ねたんだよ。
でもさすがにそれを言うのは悔しいし、言えるわけもない。
「大きいの買って一緒に食べようよ。あっ、ほら、ドリンクとコンボもあるよ」
「俺、お腹減ってないしなー」
「そんな薄情な事言わずにさぁ、食べようよー」
あたしは腕をグイグイと左右に揺らしておねだりする子供のように懇願した。
そしたら星野くんは不敵な笑みでこう言った。
「しょーがねぇな。子豚が豚になる瞬間を見届けてやるかぁ」
「いや、ならないし。そんなもん見届けてようとしないで映画観なよ」
すっぱり切り捨てるようにそう言ったのに、星野くんはまだ笑ってる。
笑いながらポップコーン売り場へと向かった。



