「……セーフ!」
そんな言葉と共に、星野くんはあたしの机の前で紙ボールをキャッチしてた。
ほっとしたような背中がくるりと反転したかと思ったら、星野くんは爽やかかつ、ちょっと小憎たらしい微笑みをあたしに向けた。
「危うくまた、責任取らされるところだったわ」
そんなフレーズを残したかと思ったら、彼は紙ボールを黒板前にいる友人に投げつけ、プレーを再開し始めた。
……責任、取るって言い出したのはそっちでしょ?
勝手にあたしが文句言ったみたいな言い方しないで欲しいんだけど。
腑に落ちない気持ちのせいでなのか、さっきまで寝かけていたあたしの頭はスッキリ目覚めてしまっていた。
むくりと体を起こして、鞄の中から財布を取り出し、教室から出て行く。
教室のうるさい喧騒から離れて、あたしは購買部へと向かう。
喉が乾いたな、なんて思いながら窓の外をぼーっと見つめてると、チラチラと雪が降ってきた。
……どーりで寒いと思った。
でもどうせ寒いなら雪降ってくれた方がマシだと思う。
だって雪が降ってるなら寒くても仕方ないなって思えるし、たとえ積もらなくても雪を見てるとちょっぴりテンションがあがる。
どーせ同じ寒いんだったら、景色が違って見えた方がいいじゃん?



