「星野くーん、朝ですよー」
なんて冗談を彼の耳元で囁く。
星野くんは目を擦りながら、やっと硬い瞼を押し上げた。
すると、彼は一瞬で頭をフル回転させたのだろう。
あたしに預けていた頭を勢い良く持ち上げ、辺りを見渡しだした。
明らかに乗り過ごしたって顔をしてる。
「星野くんの駅は次だよ」
あたしがそう言ったのと同時に、星野くんは訳がわからないって顔をこちらに向けた。
その表情からして、なんで浮田が隣にいるんだ? とでも言いたげだ。
どれだけ寝ぼけてんのよ。って笑いそうになりながら、とりあえず一言。
「星野くん、おはよ」
シャンと伸ばしていた背を背もたれに預け、星野くんは頭を掻いた。
「お、おはよ……って、ここどこだ?」
「次が星野くんの△△駅だよ」
「そっか……」
ちょっと安心したのか、ずっと車内を泳いでた視線はゆっくりとあたしに向けられた。



