電車が揺れると、星野くんの髪がふわりと揺れる。
そこから香るシャンプーのいい匂い。
それらにつられるようにして、あたしの手は再び動き出す。
そーっと、起こさないように……ううん、むしろ起こした方がいいのかも。
だってもうすぐ星野くんが下車する駅がやって来るから、起こすつもりで触ればいいんじゃないだろうか。
だって、起こさなきゃいけないし。
……そう思うのに、手はずっと右往左往している。
これはもう気持ちの問題だと思う。
隣で気持ちよさそうに眠る星野くんに、ちょっとばかり触れてみたいと思っている、あたしのやましい気持ちがあるせいだ。
なんとなく視線を泳がせて辺りを見渡す。
すると誰もあたし達の事は気にかけてる様子もなければ、見てもいない。
ちょっとホッとした気持ちで、あたしは意を決して星野くんの髪に触れてみた。
……あっ、すごく柔らかい。
初めは指先でほんの少しかすめる程度。だけど、星野くんが起きる様子がない事を確認して、私は思い切って髪をなでてみた。
猫の毛みたいにフワフワな髪だ。あたしの硬い髪とは違う。フワフワしてて触り心地抜群だ。



