扉が開き、車内アナウンスが流れるのを黙って聞き流し、あたしはもう一度星野くんの横顔を見つめる。
まつ毛、長いんだ。
髪もそうだけど、細いし色素も薄いから、今までは気づかなかった。
肩にかかる髪がとても柔らかそうで、あたしは思わず手が伸びる。
……ね、寝てる、よね?
指先が星野くんの髪に届きそうになったところで、彼は「……んっ」と言って鼻を掻いた。
その瞬間のあたしの挙動不審さったらない。
慌てて手を引っ込めて、肩の高さは変えずに背筋をしゃんと伸ばして、前を向いた。
ちょうど電車の扉が閉まって、動き出すところだ。
……起きた、かな?
顔は前を向いたまま、目線だけを星野くんに向ける。
すると星野くんは子猫の様に頭をあたしの肩に擦り付け、安定したポジションを見つけたのか、再び動かなくなった。
……か、可愛い。
思わず頭を撫でくりまわしそうになった自分を、必死に律した。



