脚と腕を組んで目を閉じてる星野くんから、小さな吐息が漏れる音が聞こえる。
スースー、と一定のリズムで奏でるそれがあたしの髪にほのかに触れている。
「星野くん?」
もう一度問いかけてみるけど、彼は反応を返さない。
……寝てる。
知らない間に強張っていたらしいあたしの体が、呪縛から解放されたように力が抜けた。
けど、星野くんが頭を預けている肩だけはまだ神経を集中させていた。
力を抜けば、星野くんの頭はずり落ちてしまいそうだし、力の抜けた人の頭とは、思ってたよりも重い。
だからこの体勢から気を抜けない。
……というか、全神経は彼が触れているそこに自ずと集中してしまう。
あたしはキョロキョロと辺りを見渡す。
サラリーマンは相変わらずお疲れの様子で、あたし達の事なんて気にせず寝ているか、疲れた目でどこかを見てる。
けど、少し離れたところにいる学生は、あたし達の方をガン見している。
知らない人だし、同じ学校の制服じゃないのが救いだけど、これだけ空いた車内でこの行動はさすがに目立つみたい。
……周りの人の目に映るあたし達は、どう見えてるんだろう。



