静かな車内。
仕事に疲れた様子のサラリーマンと、学校帰りの学生がちらほらと車内に座ってる。
サラリーマンに関しては、船を漕ぐみたいにゆらゆら揺れている。
そんなあたしは、窓の外を流れる景色を見つめながら考えるのは、隣に座る星野くんの事ばかり。
ちらりと視線を泳がせてみたら、星野くんはあたしが座る方とは逆側に顔が向いていた。
……なに、考えてる?
思わず口にしそうになった言葉は、するりと喉の奥へ引っ込んだ。
何も話さない星野くんと、何も話さないあたし。
あたし達はただ静かに、静かな車内で電車が揺れる音を聞いている。
すると。
ガタン、ゴトン、と揺れる車内であたしの片側の肩に重みが加わった。
「……ほ、しのくん?」
あたしの肩に頭を預けているのは、隣に座る星野くん。
さらりと揺れる柔らかい髪。シャンプーの匂いだろうか、胸の奥をくすぐるような香りがあたしの鼻先をかすめる。



