あたしは猫みたいな彼の隣に座って、笑顔を誤魔化すみたいに口を開いた。
「寒いからさ、気晴らしにゲームしない?」
「ゲーム? なんの?」
「うーん、しりとりとか?」
「しりとりか……。いいけど、何か賭けようぜ。負けた方がジュース奢るとか」
星野くんは再び骨ばった指を待合室の外にある自販機へと向けた。
「いいよ。あたし負けないし」
そう言って笑ったら、星野くんの指が形を変えてあたしのおでこにヒットした。
「いたっ! なにすんの!」
「なんとなく?」
子犬のように首をコテン、と横に倒し、星野くんは手をポケットへと戻した。
さっきまで猫みたいだったのに、今度は犬……なかなか星野くんは掴めない人だ。
「理不尽だ!」
あたしも仕返しに星野くんにデコピンしようと身を乗り出すと、彼はさらりと身を翻してそれを回避。
「なぜ逃げる⁉︎」
「ははっ、当たり前だろ。そうやすやすとされてたまるかよ」
「あたしにはしたじゃん!」
「隙が多いんだよ、浮田 真依子は」
あたしが悪いって言いたげな物言い。
不満だらけのあたしの顔を見ながら、星野くんはまた笑った。



