「浮田の家、どこ?」
駅の改札が見えてきたところで、星野くんは静かにそう言った。
「あたしは〇〇駅。星野くんは?」
「なら方向は一緒だな。俺は△△駅だから」
△△駅ならあたしの駅から2つ先のところだ。
「電車、行ったばっかだな」
時刻表を見上げながら、星野くんの骨ばった指先が駅のホームに向いた。
「寒いからあの中で待ってようぜ」
改札を抜けた先、駅のホームの端に設置されている透明な箱。待合室。
「うん、そうだね」
あたしもその意見に同意して、改札を抜けて待合室へと向かう。
待合室と言ってもとても簡易なもので、暖房器具なんて設置されてないから、正直寒さは変わらない。
ただ、凍てつくような冷たい風を避ける事は出来る。
「寒いな……」
ドカリ、と勢いよく待合室のベンチに腰掛けた星野くんは小さく肩を丸めてる。
その様子がまるで猫みたいに見えて、あたしは少し笑ってしまった。



