「はぁ? どーいう事だよ」
「どーもこーも、彼氏はいません」
「意味わかんね。さっき彼氏いるっつったじゃん」
「ジョークじゃん?」
「はぁ? なんでそんな嘘つくんだよ」
だから嘘じゃなくて、ジョークじゃん?
どんな反応するかな? なんて、星野くんの出方を見てみたかっただけだし。
「だってほら、彼氏いないなんて言うのはなんかシャクでしょ?」
「はぁ? もっと意味わかんね」
「わかるでしょ。このクラスだけで言っても、彼氏・彼女いる率高いんだから。なんか自分だけいないっていうのは肩身狭い気がしない?」
「見栄張るところ間違ってるだろ。そういうのは相手がいる奴に言うもんだと思うけど」
「俺だっていないし?」
「そう、俺もいない……って、うるせーよ。わざわざ何度も言わなくていいっつーの!」
星野くんは怒った口調で笑った。
そしてそのまま、あたしのひたいにデコピンを食らわす。
「いたっ!」
「加減してんだから痛くないだろ。大げさだな〜浮田 真依子は」
うん、痛くはない。話の流れ的にそう言っただけ。
「乙女の顔に傷でもついたらどーしてくれんのよ」
「じゃあその時は責任とってやるよ」
そう言って星野くんはあたしが手で押さえてる額に視線を落とした。



