「笑いながらごめんなんて言われて、許されると思ってるの?」
ジロリと睨むように古柳くんを見つめると、瞳にほんのり笑みを残したまま、彼はふわりと言葉を零した。
「ごめん。でもこれでやっと、浮田さんがこっちを向いてくれた」
そう言って古柳くんは手櫛で髪を解いたあと、あたしの片耳にだけ髪をかけた。
その言葉を聞いて、思わずあっと思った。
「誰かのこと、探してた?」
笑いながらそう言うけど、目がどことなくいつもと違う。笑っているようで、笑っていない……そんな風に思わせる表情。
あたしの心の中を見透かされたような気がして妙に恥ずかしくって、自然とあたしの耳は電熱線のように熱を帯びていく。
「ご、ごめん」
先に失礼な事をしていたのはあたしの方だった。その事を謝りたかったのに、今となってはもう、なにに対し謝ってるのかわからない。
「今日、部活終わったら昇降口で待ってるから」
あたしの口はもたついて上手く稼働してくれない。
なにも返事してないのに、そんなあたしの様子を見て、古柳くんはなぜか満足そうに笑ってる。
「もし部活に出ないのなら先に帰るってメールしてくれたらいいから。一緒に帰れたら最高だけど、俺は浮田さんからメール貰えるだけでも嬉しいし」
なんて事を爽やかな笑顔付きでサラリと言ってのける彼はペテン師じゃないだろうか……。
なんて風に思ってしまうくらい、古柳くんの行動や発言は露骨だった。



