んん? なになに? どーいう事?


星野くんは再びあたりをキョロキョロを見渡した後、もう一度あたしと向き合う。

今度は両手を口元に当てて再び、これだ。


“ウ! キ! タ!”


あたしは何か見落としているのだろうか。

これ、何かのゲーム? 星野くんとこういう名前を呼び合う的なゲームした事あったっけ?

こないだのしりとりみたいに自分達で勝手に作るゲーム。

記憶の中を探ってみたけど、思い当たる節はない。

もしかしてあたし何か車内に忘れ物したとか?


ハッとしてバックの中とポケットを確認する……けど、特に忘れ物なんて無さそう。


そんな事をしている間に、電車は動き出していた。

あたしは顔を上げてもう一度星野くんと向き合おうとしたけど、星野くんのいる位置は遥か前方だった。