「ほら、電車来たぞ」
悶々と考えあぐねいている間に、今ホームに入って来た電車の方へスタスタと歩いて行ってしまった。
「まっ、待ってよ」
再び星野くんの背中を追いかける形となったけど、電車に乗り込むと隣に座れとばかりに空いた座席をポンポンと叩く星野くんの姿が目に飛び込んで来た。
電車の中は空いている。
と言っても、やはり週末。全くいない訳でもなく、そこそこに人はいる。
反対方向へ向かう電車は混んでいるけど、あたし達が帰る方向は街から離れていく為、いつもこうだ。
乗る側としてはとてもありがたい。
あたしは星野くんの隣に座り、座席の下から出ている暖房の熱にホッとした。
寒さで強張っていた体が徐々に溶かされていくみたい。
扉が閉まり、電車が動き出した頃には、あたしの思考回路はプツプツと切れては繋ぎ、また切れては繋ぐといった状態を繰り返し始めていた。
車内の暖かさと、気持ちよく揺れる電車。
その上昨日はあまり眠れていないという事と、ガタンゴトンとかき鳴らす音もどこかリズムを踏んでいるように感じて、あたしの意識を遠のけようとしているみたいだ。



