「ははっ。なーんだよ、怒んなよ。俺、褒めただけじゃん」
星野くんは歩く速度を緩めて、いつものようにあたしの隣を歩きつつ、これまたいつものように柔らかな口調で話し出した。
でも今度はあたしがツンケンする番だ。
スタスタと歩いて行っちゃいたいのに、それは出来そうにない。
今だって早歩きしてるというのに、星野くんは難なくついてきてる。
悔しいけど、リーチの差は認めざるを得ないみたい……。
「言葉では、ね。心の中では貶してたよ」
「なんだよ、浮田は俺の心の中が見えるって言うのか?」
「うん、間違いなく見えたよ」
あざ笑ってたでしょ。もう心の中どころか君の顔面から何から、前面に推し出てたからね。
「ふーん……じゃあさ、今俺が何考えてるかわかる?」
「……えっ?」
あたしは思わず星野くんと向き合った。
ずっと顔を逸らしていたけど、その言葉に思わず振り向くと、メガネ越しの星野くんの瞳とかち合った。



