ツンデレはもういいとして……。
あたしはちょっと息の上がった声で、星野くんの背中に言葉を投げつける。
「星野くん、なんか歩くの早いね。今日観たいテレビでもあるの?」
そう言うと、星野くんは足を緩めて片側の目を細めながら眉根を寄せた。
明らかにそれはあたしを馬鹿にしてるであろう表情だ。
「人を幼稚園児みたいに言うなよ」
「えっ、違うの? だってやたらと歩くの早いからさぁ」
「それはリーチの差だろ」
そう言って、片足をあたしの前までズイッと寄せてきた。
「一緒、一緒! 変わんないし」
身長差があるから当たり前なんだけど。それでも悔しくて、あたしは大股で歩いてみせる。
すると、星野くんはお腹を抱えて笑ってる。
「おーおー、本当だ。悪かった、浮田の足はなげーわ」
あたしが求めていた返答だというのに、星野くんの言葉にイラっとするのは、明らかに心がこもってないセリフだからだろうか。
あたしは大股で歩くのを諦め、唇を突き出して星野くんから顔を背けた。



