「浮田のそれ、何にしたんだ?」
一瞬意識が遠のいていたあたしは、星野くんが指差すものに慌てて視線を向ける。
指差す先にあるのは、ケーキセットで注文したジュース。
「これはローズヒップティーだよ」
「ああ、酸っぱいやつか」
そう言って星野くんは顔を顰めた。
「それの美味しさがわかんねーわ」
「うーん、美味しいか美味しくないかというより、美容にいいし? しかもケーキが甘いからちょうどいいよ」
星野くんはあたしの言葉を聞いても納得していない様子。
顔はまだ渋い状態で固定されている。
「星野くんこそ、それ何シェイク?」
「んー? ピーチやイチゴとかが入ってるフレッシュジュースだな」
ストローの先でクルクルとジュースをかき混ぜた後、ふと顔を上げたと思ったら、
「飲む?」
なんて言葉をあっさりと口にしながら、グラスを差し出してきた。
その淀みない一連の流れが、今までと違う気がして、あたしは思わず面食らってしまった。
だってそれ、間接キスだよ?
それなのに星野くんってば口どもる事もなく、あっさりそれを言ってのけた。



