水玉模様

篠田くんが何も言わないからなのか、森さんが篠田くんの腕を少し引っ張った。

「ごめんねっ!こんな雨なのに!行こっ、…瞬ッ‼︎」

「あ、あぁ、うん。」

あたしは、1人でしゃべりまくった後、工藤瞬の手を引っ張ってその場を去った…。


なぁんだ…。

森さんとデート、してんじゃん……。

相合傘なんかしてさ…。

なんで傘なんか持ってんのよ。

傘からしたたり落ちる雨粒が、ただひたすらに憎らしかった…。

そして、

「和奈姉ッ!…どこまで行く気なんすか?!」

工藤瞬に引き止められる頃には、あたしの髪の毛からも、たくさんの雨粒が流れていたーーー…。

そしてどこをどう歩いたのか、駅を通りこして住宅街にさしかかっていた。

「早く帰らないと、マジで風邪ひいたらシャレになりませんよ?生輝達ももう帰っただろうし…。」

「…なぃ。」

「え…?なに?」

雨音が邪魔をして、言葉を遮る。

あたしはその隙間を縫う様に、言葉を発した。


「…帰りたく、ない。」