それからの夏休みはーーー家族でおばあちゃんの家に行ったり、課題に追われたりしてる内に、終わっていった…。



そして9月―――。

新学期ーーーまた、学校が始まった。


あたしは、いつまででも…足踏み状態だ。

それは、一途な想いを抱えたまま…感情さえも、朦朧(もうろう)としていた。


篠田くん…。

その名を呼ぶには、あまりにも遠すぎて…。

今朝は、久しぶりに袖を通した制服が、やたら重たく感じた。



「おはにょ~瀬口ぃ。」

「おはよ…てかあやね、起きてる?」

「ゔー…。多分。」

夏休み明けなんて、こんなもん。

あたしもあやねも何とか目を開けているといったカンジ。

しぶしぶ上履きに履きかえる。

「あ゙。」

「…“あ゙”?」

あたしは、あやねの視線を追った。


ほら、ね…。

魔法は、とけるんだ。