スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―



頼利さんがふと、思い出したように自嘲的に笑った。


「考えてみりゃ、おれは、あの加納とかいう男と大して違いがないのかもな」


「えっ? 何言ってるんですか?」


「家の事情に縛られて、自分の行きたい道を行けない。そういうバカバカしいところは、一緒じゃねぇか」


「一緒じゃないですよ! わたしにとっては、全然違うから!」


頼利さんが笑った。

今度は、自嘲的じゃなかった。


「どうも。あんたに認められてんなら、まあ、それでよしとするか」


「当然です。誰に訊いたって、同じこと言うと思います」


「別に他人はどうでもいいんだが」


「はい? それより、ひとつ、お願いしたいことがあるんですけど、いいですか?」


「無茶なこと言い出すんじゃねぇだろうな?」


「時間的に、もしかしたらちょっと無茶があるかもしれないです。らみちゃんのお迎えの時間、どんな感じですか?」


「10時ごろに会場のあたりに迎えに行けばいいことになってるから、まだ余裕だ。何だ、どこか行きたいところでもあるのか?」


怪訝そうな頼利さんを前に、わたしはひとつ深呼吸をして、腹をくくった。


「加納と決着をつけます!」