風の子坂を駆けぬけて



閑静な住宅街の中の何てことのない路地の曲がり角の縁石。



周りに誰も居ないことを確認すると2人で腰掛ける。




知優は下ろしたランドセルからプロフ帳を取り出す。

恐る恐る、でもわくわくとプロフ帳のページを開く。



手を止めたのは明日香のページだ。





真っ先に目に飛び込んできたのは、はっきり濃く書かれた字。


☆スキなタイプ


『すどう たける くん』


ドキンッ


「ちゆー!ねねね、たける君だって!」


鼓動と同時に隣にいた胡桃の声にハッと我に戻る。


「わーライバルじゃん!でもそっかあ、あっちんてさ、たける君にいっつもちょっかい出してたもんね。あれって、うらがえし、ってやつだったんだね」


一人勝手に盛り上がる胡桃をよそに呆然とする知優。