風の子坂を駆けぬけて


あの頃は同じ背丈で、肩が隣り合っていた。
だけど今はほんの少しだけ健の方が高くなっていた。


「ほらほら、笑って!」

「健も、もっと寄って」


リクエストが多い母達に、2人は顔を見合わせ苦笑いをした。


「うるさいよな、ま、今日は仕方ないな」

健は照れを滲ませつつ、くしゃっと頬笑んだ。

「ほんとにね」

釣られた勢いで知優も笑い、2人はそのままの笑顔でカメラの方を向いた。



幼い面影を残しつつ、彼女達はあの頃と同じようにピースサインをした。


多分あの頃は感じなかった緊張と嬉しさを抱えて。






最初はそれぞれの母達と一緒に帰る予定だったが、小学校最後の日はやっぱり、4人で帰ろうと明日香が誘い出した。
3人も同じ気持ちで大賛成だった。


着慣れないジャケットにスカートという少し気恥ずかしい装いを纏いながら、いつもの通学路を歩く。


「今度はさー、ここも制服着て歩くんだよね」

胡桃がしみじみと言う。

「雰囲気変わるんだろうねー。スカート絶対短くするでしょ?」

するどく指摘する明日香。

「したいけどー、でも1年生って校則は守らなきゃじゃん。なんかほら、先輩って厳しいって言うし」