風の子坂を駆けぬけて


そしてまた、そんな彼女の姿を見つめる存在もあった。


彼女の視線の先には健がいる。
そのことに気づくと、一瞬だけ空を仰ぎ、足早にその場を立ち去ったのだった。







――――――——――*゜――*゜――


ー卒業式。


ほとんど同じ公立中学に進学するという安心もあってか、卒業する児童達にあまり泣く子はいなかった。




知優や胡桃のメンバーはクラスの子達と記念写真に笑顔を咲かせていた。
彼女達は中学も一緒であることが嬉しくもあり、期待に満ち溢れていた。


「知優!ちょっとこっち来て来てほらっ」

そう忙しなく呼ぶのは彼女の母。

少しむっとして胡桃達の輪から離れて、母の元へと向かう。


「ここ2人並んでー」

「えっ……」


目の前の状況に体が硬直する知優。

だってそこには健の姿があり、彼の母もカメラを持って待ち構えていたのだ。


「ちょっと早くしなさいよー!入学式も撮ったでしょ」


(あれ、そうだったけ。確かそうだったような……)


ぼんやりする記憶の中、あの時も母達に誘われたことを思い出す。