「卓、起きて」
14回目。
気がついたら戻っていた。
前回の終わりの方は記憶が曖昧だ。
でも、確実に覚えていることがある。
確実に俺はそれに絶望した。
でもすぐに理解はできなかった。
そして今も…
「ああああ……」
「卓?」
「あああああああ…!!!!!」
教室に響く俺の叫び声。
俺の心はズタズタだ。
みんなの不審がる目が俺に向く。
「おい、何した?」
健太郎が言った。
「お、れは…」
「ねぇ、卓」
日和の声も、健太郎の気配も聞こえる、感じる。
何から考えていいか分からなかった。
でも確実に俺は“終わり”への答えを見つけた気がする。
でもそれは、その答えは俺の心を貫くほどに辛いものだった気がする。
気がする、ばかりで記憶が薄れていく。
脳が記憶にソレを残すことを拒否している。
涙が止まらない。
「や…ちがう…はは…ゆめだ…」
「ねぇ…ちょっと…」
教室のざわめきが耳に入る。
でも、頭が回らない。
何にこんなにショックを受けて、何を失うのか、思い出せない。
「おれ…ねぇ、ひより…ちがうよね…?おれ、いつまでこうして…あれ?なにをわすれたんだっけ?」
あれ…ことばがでてこない。
おれ、ここにいる?
いままでなにしてた?
ひよりは何を怖がっている?


