夏希の声と同時に、グラウンドから声がした。
ボールを持った三年生から軽やかな動きでボールを奪った人がいた。
秋月先輩だった。
わあっと小さな悲鳴がちらほら聞こえてきた。
秋月先輩の持ったボールは生き生きとしててまるでボールを使いながら踊っているみたいに華麗だった。
この試合を目にする誰もが彼のプレーに目を奪われていた。
もちろん、私も。
ルールが曖昧な私でも思わず見入ってしまう動きだった。
パサッ!
砂の上を駆け巡る音と異なった、乾いた音が響いた。
ゴールネットに入ったボール。
私は秋月先輩のシュートが決まったんだと今になって気づく。
キャー!と甲高い叫び声が溢れる。
すごい。
本当に、すごい。
初めての感情にどうしていいかわからず、私はただひたすらに唇をかみしめていた。

